実習生が来ない…農家の人手不足深刻 担い手の外国人に入国制限

実習生が来ない…農家の人手不足深刻 担い手の外国人に入国制限

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西日本新聞

特定技能の受け入れが遅れているという久冨祐輔さん(中央)

 新型コロナウイルスの影響で、農業が盛んな福岡県筑後地区の農家が人手不足に陥っている。外国人の入国が制限されたことで、農作業の担い手として定着していた技能実習生などを受け入れられないためだ。在留期間を終えた外国人が帰国できない状況も続いており、JAや関係団体は対応や相談に追われている。 【写真で解説】ハンカチ1枚で出来る布マスクの作り方  真夏日の下、久留米市北野町の畑で、農業法人「you farm」(同市御井旗崎5丁目)の久冨祐輔代表(31)は家族ぐるみでカリフラワーの収穫に追われていた。「とにかく人手が足りない」と汗を拭う。  法人は大規模化を推し進めており、4月からは昨年創設された新しい在留資格「特定技能」で、フィリピンからの3人を受け入れるはずだった。しかし、3月26日にフィリピンを含む東南アジア7カ国からの入国が制限された。計画では8、9月からさらにベトナムの7人を受け入れるはずで、それを見込んで農地も30ヘクタールに倍増させていた。今いる8人の技能実習生らでは手が足りず、これまでに2ヘクタール分のカリフラワーを収穫できずに廃棄した。久冨さんは「人手をかけて収穫した方が赤字になる。どうしようもない」と悔しさをにじませた。  同市北野町、小郡市、大刀洗町を管内に持つ「JAみい」によると、今年3月時点で約100戸の農家が約400人の外国人を受け入れている。そのうち8割を占める北野町はここ数年、大規模化に比例して外国人の受け入れを増やす動きが目立つといい「同様の状態の農家は多い」と話す。  一方、帰国のめどが立たない外国人の不安も深刻だ。同市北野町の農業、古賀隆嗣さん(33)の元で働くアイビス・コリンナ・エキッドさん(26)は、3月25日に技能実習生としての在留期限を迎えた。だが3年ぶりの帰国目前に、母国フィリピンがすべての渡航者の入国を禁止に。新しいビザ「特定活動」を申請したが、認められるまでの1カ月間は就労が認められず、給料はほぼゼロだった。  技能実習生の受け入れなどを行う「福岡アグリ協同組合」(大刀洗町)にも、人手不足を訴える農家や、帰国できない外国人らからの相談が相次ぐ。担当者は「今後の見通しは立たないが、農家と連携しながら必要な手続きや相談に応じたい」と話す。 (平峰麻由)

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