外国籍生徒にオンライン日本語授業 支援が十分でない地域の公立小中学校 三重

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毎日新聞

タブレットの画面を見ながらオンライン授業を受けるヨシロー・サンビレ・フルカワさん=三重県名張市丸之内の名張中学校で2020年10月16日午前11時38分、衛藤達生撮影

 三重県名張市立名張中学校(中森早苗校長)で、外国籍生徒へのオンラインによる日本語教育が行われている。県教委によると、オンラインでの日本語教育を取り入れているのは都道府県レベルでは全国初という。名張中でこの授業を受けている生徒は来日して2年ほどで、ほとんど日本語が話せないといい、生徒は「日本語について同じくらいのレベルの生徒と一緒に勉強できてうれしい」と述べていた。【衛藤達生】  県教委によると、5月1日現在、県内の公立小中学校に在籍している日本語指導が必要な外国籍の児童生徒は2147人。これまで、外国人児童生徒巡回相談員14人を各学校に派遣して支援してきたが、今回、外国人児童生徒が少ないため支援態勢やノウハウが十分ではない地域を対象にオンラインでの日本語授業を導入することにしたという。今年度は名張を皮切りに20人程度を対象に行う方針。  この授業は東京都のNPO法人が行っているもので、ウェブ会議システムを活用して指導者と受講者が会話しながら進められることが特徴。日本語について同じくらいのレベルの受講者が一緒に受けることで、分からないところを聞き返しやすいという。  名張中で受講している生徒は、フィリピン国籍のヨシロー・サンビレ・フルカワさん(14)。父方の祖父が日本人で、父は2013年11月に来日し、工場で勤務している。フルカワさんは弟と妹と一緒に18年8月に来日し、名張中には1年生の2学期から通っている。  名張中で日本語が分からない外国籍の生徒が在籍するのは初めて。フルカワさんが得意な英語や、体育、美術などは他の日本人生徒と同じクラスで受講しているが、国語や数学などは個人指導を受けていた。名張中にも県教委の外国人児童生徒巡回相談員や市教委から外国人児童生徒日本語指導員が訪れ、フルカワさんを支援していたが、今回の授業について中森校長は「日本語をどのような順番で学ぶと良いかを知っているプロの授業は本当にありがたい」と話していた。  フルカワさんが受けているオンライン授業は日本語を初めて学ぶ児童生徒向けの「プレクラス」で、9月28日から10月23日まで、50分授業が毎日5時限行われる。  10月16日にオンライン授業を受けていたフルカワさんは「昨日のテストは難しかった」など、講師の指導に合わせて日本語を発音しながら学んでいた。授業後、「日本語は漢字が特に難しい」と話したフルカワさん。授業の効果については「日本語の力が上がったような気がしている」と説明した。フルカワさんは高校進学を希望しており、将来は得意な絵を生かしてイラストレーターになりたいという。

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